同棲で住民票を実家のままにするリスクと正しい手続き方法を徹底解説

あなたは「同棲を始めたけど、住民票を実家のままにしておいても大丈夫かな」と思ったことはありませんか?結論、住民票を移さないと法律違反となり、最大5万円の過料が科される可能性があります。この記事を読むことで同棲時の住民票手続きや世帯主の決め方がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。

1.同棲で住民票を実家のままにする法律上のリスク

1.同棲で住民票を実家のままにする法律上のリスク

住民票を移さないと5万円以下の過料が科される可能性

同棲を始めて新しい住所に引っ越した場合、住民票を移すことは法律で定められた義務です。

住民基本台帳法第52条には、正当な理由なく住民票の届出をしない者には5万円以下の過料に処すると明記されています。

過料とは行政法規上の義務違反に対する金銭的な罰則のことで、刑事罰の罰金とは異なり前科はつきません。

しかし法律違反であることには変わりないため、注意が必要です。

実際に過料が科されるケースは多くありませんが、長期間放置した場合や故意に移さなかった場合には、罰則の対象となる可能性があります。

住民基本台帳法で定められている住民票異動の義務

住民票は住民基本台帳法に基づいて作成される公的な記録で、氏名、生年月日、性別、住所、世帯主との続柄などが記載されています。

この住民票は国民健康保険、国民年金、児童手当、選挙人名簿への登録など、各種行政サービスの基礎となる重要な情報です。

住民基本台帳法第22条では、転入をした者は転入をした日から14日以内に市区町村長に届け出なければならないと定められています。

同棲のために新しい住所に引っ越した場合も、この法律が適用されます。

住民票は単なる形式的な書類ではなく、行政サービスを受けるための重要な基盤となっているのです。

転居後14日以内に手続きが必要な理由

住民票の異動手続きは、引っ越しをした日から14日以内に行う必要があります。

この14日という期間は、引っ越し後の混乱期を考慮しつつ、できるだけ早く正確な住所情報を把握するために設定されています。

期限を過ぎてしまった場合でも役所で手続きは受理してもらえますが、遅れた理由を尋ねられることがあります。

また、あまりにも長期間放置していると、前述の過料の対象となるリスクが高まります。

引っ越し後はバタバタして忙しいものですが、住民票の異動は優先度の高い手続きとして早めに済ませることをおすすめします。

住民票を移さなくても良い例外ケースとは

住民票を移さなくても良い正当な理由が認められるケースも存在します。

新しい住所に住むのが1年未満の場合や、生活の拠点が変わらない場合は、住民票を移さなくても法律違反にはなりません。

例えば、大学進学で実家を離れるが卒業後は実家に戻る予定の学生や、単身赴任でいずれは元の住所に戻る予定の社会人などが該当します。

また、平日は実家で過ごし週末だけ同棲先で過ごすような「半同棲」の状態も、生活拠点が変わらないため住民票を移す必要はありません。

ただし、完全に同棲先で生活している場合は、たとえ結婚前提であっても住民票を移す義務があることを覚えておきましょう。

2.住民票を実家のままにした場合の具体的なデメリット

2.住民票を実家のままにした場合の具体的なデメリット

運転免許証の更新案内が実家に届いてしまう問題

住民票を実家のままにしておくと、運転免許証の更新案内ハガキが実家に届いてしまいます。

更新案内を見逃してしまうと、免許証の更新期限を過ぎてしまい、最悪の場合は免許が失効してしまう危険性があります。

免許証が失効すると、再取得には試験を受け直す必要があり、時間と費用がかかってしまいます。

また、運転免許証の更新手続き自体も、住民票のある旧住所の管轄の警察署や免許センターで行わなければなりません。

遠方に引っ越した場合は、更新のために実家の地域まで戻る必要があり、交通費や時間の負担が大きくなります。

確定申告を旧住所の税務署で行う必要がある

確定申告は原則として、住民票がある住所を管轄する税務署で行うことが義務付けられています。

住民票を実家のままにしていると、同棲先の近くではなく実家の管轄税務署まで出向いて申告しなければなりません。

最近ではe-Taxを利用してオンラインで確定申告ができるようになったため、この問題は軽減されています。

しかし、税務署での相談サービスを利用したい場合や、紙で申告したい場合は、やはり住民票のある地域の税務署に行く必要があります。

毎年のことですので、手間を考えると住民票は早めに移しておいた方が便利です。

選挙の投票用紙が同棲先に届かない

選挙権を行使できるのは、住民票がある自治体のみです。

住民票を実家のままにしていると、投票用紙は実家に届き、投票も実家の地域で行わなければなりません。

選挙のたびに実家まで戻るのは現実的ではないため、結果的に投票の機会を逃してしまうことになります。

また、同棲先の地域で立候補者や地域の政策について知る機会があっても、実際に投票できないというジレンマが生じます。

地域社会の一員として選挙権を適切に行使するためにも、住民票は実際に住んでいる場所に移しておくべきです。

公共施設やサービスが利用できない可能性

住民票がある自治体の住民に向けて提供されている公共サービスが、同棲先では利用できない場合があります。

代表的なものとして、公立図書館の利用、スポーツ施設の優待料金、子育て支援サービスなどが挙げられます。

これらのサービスは、その地域に住民票を置いている人を対象としていることが多いです。

また、各種証明書類(住民票の写し、印鑑登録証明書、所得証明書など)も、住民票のある自治体でしか発行できません。

就職や転職、各種契約の際に証明書が必要になった場合、その都度実家の役所まで行かなければならず、非常に不便です。

本人確認書類の住所が一致しないことで起こる不便

住民票を移していないと、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類に記載されている住所が、実際に住んでいる住所と異なる状態になります。

本人確認書類の住所と現住所が一致しないと、各種契約や手続きの際に追加の証明書類を求められることがあります。

例えば、銀行口座の開設、クレジットカードの申し込み、携帯電話の契約などで、公共料金の領収書などを追加で提出する必要が生じる場合があります。

また、郵便物の転送届を出していても、重要書類は転送不要で送られることもあり、実家に届いたまま受け取れないトラブルも発生します。

日常生活でのこうした小さな不便の積み重ねが、ストレスとなってしまいます。

3.同棲時の住民票移動手続きの正しい方法

3.同棲時の住民票移動手続きの正しい方法

転出届と転入届の提出手順と必要書類

他の市区町村から引っ越して同棲を始める場合は、転出届と転入届の両方を提出する必要があります。

まず引っ越し前に、旧住所の市区町村役場で転出届を提出し、転出証明書を受け取ります。

転出届は引っ越しの14日前から提出できますので、早めに手続きしておくと安心です。

転出届の提出には、本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)と印鑑が必要です。

引っ越し後は、新住所の市区町村役場に転出証明書と転入届を持参し、引っ越しから14日以内に提出します。

転入届の提出時にも本人確認書類と印鑑が必要ですので、忘れずに持参しましょう。

同一市区町村内での転居届の出し方

同じ市区町村内で引っ越す場合は、転出・転入の手続きは不要で、転居届のみで済みます。

転居届は、引っ越し後14日以内に、新住所を管轄する市区町村役場の窓口で提出します。

役所の窓口で「住民異動届」という用紙を受け取り、必要事項を記入して提出するだけです。

必要なものは本人確認書類と印鑑ですが、自治体によっては印鑑が不要な場合もありますので、事前に確認しておくと良いでしょう。

転居届の手続きは比較的簡単で、10分程度で終わることが多いです。

マイナンバーカードの住所変更を忘れずに

住民票の異動手続きと合わせて、マイナンバーカードの住所変更も忘れずに行いましょう。

マイナンバーカードには住所が記載されており、住所変更の際は新住所の市区町村役場で更新手続きが必要です。

転入届や転居届を提出する際に、マイナンバーカードを持参すれば、その場で住所変更の手続きができます。

住所変更をしないと、マイナンバーカードが本人確認書類として使えなくなってしまうため、必ず手続きを行ってください。

また、通知カードは2020年に廃止されているため、マイナンバーカードを持っていない場合は、この機会に作成することをおすすめします。

郵便物の転送届との併用で安心できる

住民票の異動手続きと並行して、郵便局で転送届を出しておくと、旧住所に届いた郵便物を新住所に転送してもらえます。

転送届は郵便局の窓口やオンラインで手続きでき、届出から1年間有効です。

ただし、転送不要と指定されている重要書類や、宅配便などは転送されないため、完全に郵便物の受け取り漏れを防げるわけではありません。

やはり住民票を正しく移動させて、最初から新住所に郵便物が届くようにしておくのが最も確実です。

転送届はあくまで補助的な手段として活用し、住民票の異動を優先して行うようにしましょう。

4.同棲カップルの世帯主の決め方と注意点

4.同棲カップルの世帯主の決め方と注意点

どちらか一方を世帯主にする方法のメリットとデメリット

同棲する際の世帯主の決め方として、どちらか一方を世帯主にする方法があります。

この方法では、一方を世帯主、もう一方を「同居人」または「妻/夫(未届)」として登録します。

最大のメリットは、内縁関係や事実婚として認められれば、健康保険や国民年金の扶養対象になれる可能性があることです。

一定の条件(年間収入が130万円未満など)を満たせば、保険料を負担せずに社会保険の保障を受けられます。

また、委任状なしでお互いの住民票を取得できるという利便性もあります。

一方でデメリットとして、住民票に同居人の名前が記載されるため、職場に住民票を提出する際に同棲していることが知られてしまいます。

それぞれが世帯主になる方法の特徴

もう一つの方法として、同棲する二人がそれぞれ世帯主となることもできます。

お互いに収入があり、生計を別々に立てている場合は、それぞれが世帯主として住民登録することが可能です。

この方法の最大のメリットは、住民票に同棲相手の名前が記載されないため、プライバシーを守れることです。

職場に住民票を提出しても、同棲していることを知られる心配がありません。

また、同棲を解消した場合でも、お互いの住民票に名前が残らないため、後々の手間も少なくなります。

一般的な同棲カップルの場合、こちらの方法を選ぶケースが多いようです。

職場に同棲がバレる可能性を避ける方法

職場に同棲していることを知られたくない場合は、それぞれが世帯主になる方法を選ぶのが確実です。

住民票を別々にすることで、年末調整や福利厚生の手続きで住民票を提出する際も、同居人の情報は記載されません。

ただし、会社から住宅手当(家賃補助)を受けている場合は注意が必要です。

住宅手当の支給条件として、世帯主であることが求められる場合があるため、会社の就業規則を事前に確認しましょう。

また、二人とも世帯主として住宅手当を受け取ろうとすると、規則違反となる可能性もあります。

不安な場合は、人事や総務などの担当部署に相談するのが良いでしょう。

同棲解消時に住民票に名前が残るリスク

どちらか一方を世帯主にした場合、同棲を解消した後も世帯主側の住民票に相手の名前が残ってしまう可能性があります。

特に、同じ市区町村内で別々の住所に引っ越した場合、世帯主の住民票には元同居人の名前に訂正線が引かれた状態で残ります。

別の市区町村に引っ越せば新しい住民票が作成されるため、この問題は解消されます。

しかし、同じ市区町村内に留まる場合は、元同居人の情報が残り続けることになります。

この点が気になる方は、最初からそれぞれが世帯主になる方法を選んでおくと安心です。

結婚時の世帯合併手続きについて

同棲中にそれぞれが世帯主だった場合、結婚する際には「世帯合併」の手続きが必要になります。

世帯合併届は、婚姻届を提出してから14日以内に、住所地の市区町村役場に提出します。

この手続きにより、二つの世帯が一つの世帯としてまとめられ、どちらか一方が世帯主となります。

一方、同棲中にどちらか一方が世帯主で、もう一方を「同居人」として登録していた場合は、婚姻届を提出すると自動的に「妻」または「夫」に変更されます。

このため、世帯合併の手続きは不要となり、スムーズに移行できます。

結婚を前提とした同棲の場合は、この点も考慮して世帯主を決めると良いでしょう。

まとめ

この記事で解説した同棲時の住民票に関するポイントをまとめます。

  • 住民票を移さないと住民基本台帳法違反となり、最大5万円の過料が科される可能性がある
  • 転居後14日以内に住民票の異動手続きを行うことが法律で義務付けられている
  • 住民票を実家のままにすると、運転免許証の更新や確定申告、選挙の投票などで不便が生じる
  • 住民票を移す手続きは、転出届と転入届の提出が必要(同一市区町村内の場合は転居届のみ)
  • マイナンバーカードの住所変更も忘れずに行う必要がある
  • 同棲カップルの世帯主は、どちらか一方にするか、それぞれが世帯主になるかを選べる
  • どちらか一方を世帯主にすると、内縁関係として扶養に入れる可能性があるが、住民票に相手の名前が記載される
  • それぞれが世帯主になると、プライバシーを守れるが、扶養制度は利用しにくい
  • 職場に同棲を知られたくない場合は、それぞれが世帯主になる方法がおすすめ
  • 結婚を前提とした同棲の場合は、将来の世帯合併を考慮して世帯主を決めると良い

同棲を始める際は、住民票の手続きを後回しにせず、早めに対応することが大切です。

正しい手続きを行うことで、法律違反のリスクを避けられるだけでなく、日常生活での様々な不便も解消できます。

パートナーとよく話し合って、お二人に合った世帯主の決め方を選び、新しい生活をスムーズにスタートさせてくださいね。

関連サイト

総務省「住所の異動届は正しく行われていますか?」
https://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/topics081127.html

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